「就労支援団体育成モデル事業」の事業体設立からこれまで、そしてこれから
2020.07.20
特定非営利活動法人アクティブシニア支援機構
NTTのOB/OG組織である電友会は会員の親睦と社会貢献を目的として、趣味、スポーツ、サークル活動、学習会、ボランティア活動などを長年にわたって行ってきた。その中で近年に至り会員の多くが人生100年の長いシニア生活を一層充実させたいとして、長寿社会との新たな関わり方、技術革新に伴う新しい生活方法への対応、そして何よりも自分の能力を活かしたいとする願望の高まりがあった。一方、社会は少子化高齢化にまっしぐら、労働力不足と社会保障費の膨張への対応が大きな課題となっていた。
厚労省は一億総活躍の旗印のもと「就労支援団体育成モデル事業」を企画し事業委託先を募った。三年にわたり各年3,000万円を上限に事業を行うものだった。
本事業は電友会会員の要望を満たすとともに広くシニアの生き方と社会への関わり方を探る意義ある挑戦と理解した。応募に当たっては、事業主体となる法人の設立と事業の柱となる派遣事業を行うマネージメントとあわせて資格取得および運営のための資金を準備をする必要があった。このため新たにNPO「アクティブシニア支援機構(ASO)」を設立し趣旨に賛同するものを募るとともに、資金獲得のために事業の目的、取り組む理念、事業計画を整え協力を訴えた。この結果、政府のモデル事業に採用された。
高齢者就労支援モデル事業への参加は私共にとっていわば退路を断っての事業であり、社会的意義を持つ新たな地平を切り開くことに挑戦できることに奮い立った。それから三年、試行錯誤を経て事業として継続して貢献できるという見通しを得られるところに至った。厚労省の関係者の皆様には、発足の契機と財政支援およびその後の懇切なご指導をいただきまして心から御礼申し上げます。あわせて就労機会をいただいた事業者の皆様および元気に就労の喜びを実践していただいている方々のご協力に深く感謝申し上げます。
三年間の活動の重点は、委託事業の提案の骨子である就労希望者の募集と就労先の開拓及びそのマッチングに集約できる。就労先の開拓を進めるには、シニア層の活用が経営上有利となる利点を理解してもらうこととした。先ずは着実に一人、二人の実例を積み上げること。利点を強調して「シニアこそ競争力」とリーフレット、ホームページを活用しての営業活動、新技術、新サービス、業界の先端的事業展開などをテーマとしたオープンな学修会。これらを通していわばASOのブランド戦略を実行した。
就労希望者の募集は就労先開拓と並行して行い、就労機会のバランスを保ち、いわゆる「待機」人数が過大とならないようにした。多くの就労は派遣ないし請負の形をとるが、さらに人材紹介の機能を追加した。
ASO事業は三年目を終えて当初の目標とした「政府のモデル事業終了後も独立自走可能な能力をつける」に到達できたと判断する。初年度は委託費により創業体制を整え、2年度には事業の本格化を進め、3年目には自走のための追い込みの支援をいただいた。就労者は各年次を追うごとに80人、200人、250人となった。
政府の支えを離れ独り立ちとなる令和2年度は、新型コロナウィルス感染の影響を受け、確たる見通しが難しいが、収入は5億円、就労者は350~400人とし収支均衡以上を目指している。
これからは長期の事業継続と発展を期して努力して参りますので引き続きのご支援をお願い申しげます。